歯列不正は顎の大きさと歯の大きさの不調和から発症します。歯が著しく大きくなったということはないので、多くは顎の委縮が叢生の原因と考えられます。
ではなぜ顎の委縮はおこるのでしょうか?食事で咬むということに注目すると、咬む刺激があれば、刺激に対応した顎の発育があるはずです。大切なのは単に咬むのではなく、よく咬みしめて食べることです。
咬むことが唾液の分泌を促して消化機能を促進し、脳を活性化させて脳の血流量を増加させるなどの効果があることは、科学的にも解明されています。咬む力は歯根を通して顎骨、顔面構造の発育を促進する働きもあるのです。幼児期、小児期の「咬む」「咬みしめる」という動作能力の低下に伴い、顎骨や咀嚼筋低下の結果が叢生の発症として口腔にあらわれたのではないでしょうか。
小さいから‘食べやすい食事を’と考えるのでなく、成長期の子供に‘食物繊維の多いもの’‘食材はなるべく大きめに切って咬み応えのあるように’‘主食がとろろごはん、カレーなどの時は、副食にきんぴらごぼう、和えものなどをの他の食材を加わえて’などと食育することが重要です。
また食事の時の姿勢も足が下につかない状態では猫背になりやすく、咬む力も強くなりませんし、テレビを見たりなどでは集中できません。食べることはとても重要なのです。
そして何より重要なのは、「前歯で咬み切る、かぶりつくこと」なのです。前歯の歯根は鼻の下近くまでたっしています。前歯を使うことで、口輪筋を活性化し、上顎前歯の歯根を通して上顎骨に発育刺激を与えることにもなります。そうするだけで、成長期の子供であれば、前歯の叢生が治る場合もあるのです。また、矯正後の患者さんであっても後戻りを防止する手段ともなります。
鳥の唐揚を料理するならば、肉を大きくするか、骨付きの肉をつかう。アスパラやごぼうに肉をまいたり、ニンジンやピーマン、椎茸を千切りにして肉で巻いてフライや、照り焼きにする。サラダやトマトも食べやすく包丁で切るのはやめ、前歯で咬み切るようお母さんの包丁の数を減らすことが一番です。
また、ポカンと口を常にあいている子供は口輪筋の力が弱いのが原因です。矯正の前にまずそれを改善しなければなりません。他に頬杖をついたり、顎を枕などに押し付けてほんを読んだりなどの癖も成長期には不正咬合の原因となるため、すぐに改善するほうがよいでしょう。
子供は0歳から6歳まで大きく成長します。「乳幼児から子供への成長期」です。6歳から10歳までは「より良い子供になるための成熟期」です。男子では10歳から17歳、女子では10歳から14歳までに、「よりよい大人になるための2回目の成長期」を迎えます。この間に顎骨も成長するため、述べてきたよう食事などにより刺激を与えつづけることが重要になるでしょう。よりよい発育を手助けしましょうね。
「臨床医のための床矯正・矯正治療 基礎編 鈴木設矢著」より一部抜粋
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